ニュース&コラム | 2020-07-02

【無人スーパー】Amazon go外販へ!アリババとの競争は?

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2020年3月、Amazonは自社の無人スーパー・Amazon goに活用されているテクノロジー「Just Walk Out」の小売業向けに外販すると決定しました。

Just Walk Outの外販により、日本でも無人スーパーが増加し、小売業界全体に大きな影響を与えると予測されます。

今回ZUVAでは、早稲田大学イノベーション研究所の所長・山野井順一をコメンテーターに迎え、無人スーパーに活用されているテクノロジーや、Just Walk Outの外販は小売業界にどのような影響を及ぼすのかを伺いました。

無人スーパーとは?

無人スーパーとは、テクノロジーを活用し、無人レジや自動会計での買い物を実現した店舗のことです。

無人レジによる人手不足の解消や、自動会計による万引き防止など、無人スーパーにはさまざまな効果が期待されています。

ECストア最大手のAmazonも、Amazon goという無人スーパーを展開中。Amazon goに使われているテクノロジーはもちろん、外販に向けた動きなど、無人スーパーだけでなく小売業界全体から注目を集めています。

【無人スーパー】ニューヨークのAmazon goに行ってみた!

ニューヨークのAmazon goの店舗で買い物をしてみたところ、自動会計の正確さに驚かされました。

「お金を払わずに店を出れてしまうのでは?」と思い、商品を棚に戻して、鞄に入れなおしてと繰り返してみたり、リュックサックの奥底に商品を入れてみたりと、いろいろ試してみました。

しかし、自動会計は正確です。店舗から出た後で確認してみると、購入した商品の分だけ会計がされていました。

【無人スーパーの仕組み】無人レジ、自動会計のテクノロジー

無人スーパーは、どのようなテクノロジーを活用し、正しく自動会計をしているのでしょうか。

コメンテーターの山野井氏に伺うと、商品棚の重量センサーや、天井などのカメラで撮影した映像に画像認識テクノロジーを活用することで、まずは一人ひとりの買い物情報を集めていると言います。

集めた情報は、Amazonの保有する世界最大のクラウドコンピューティング「AWS」を活用して処理され、レジを通ることなく自動で会計されます。

重量センサーや画像認識はもちろん、AWSに搭載された機械学習やAIなどのテクノロジーによって、無人レジ・自動会計の無人スーパーが実現したのです。

なお、ZUVAでは、無人スーパーに活用されているテクノロジーを開発する、さまざまなスタートアップ企業のデータを扱っています。資金調達額や専門家目線での市場予測など、あらゆる切り口からスタートアップ企業を紹介します。

ZUVA

無人スーパー・Amazon go、ついに外販へ!

Amazonは2020年3月に、Amazon goに使われている無人スーパーのテクノロジー「Just Walk Out」を、小売店向けに外販することを決定しました。

2018年にシアトル1号店をオープンしたAmazon goは、2020年4月現在までに店舗数を20に増やしました。店舗数を増やしつつ、テクノロジーの改善を重ねてきたJust Walk Out。

Just Walk Outの外販により、小売業界にはどのようなことが起こるのでしょうか。

無人スーパーからAmazonに実店舗のビッグデータが集まる

無人スーパーのテクノロジー・Just Walk Outの外販により、実店舗とEC、あらゆる購買データがAmazonに集まるといわれています。

Amazonは、いわずと知れたECストアの最大手企業です。Amazonは、インターネット通販を通して、さまざまな商品の購入データや顧客データを集めてきました。

今後はJust Walk Outの外販により、ECだけでなく、Just Walk Outを活用した実店舗のデータまでもがAmazonに集まるようになるでしょう。

無人スーパーから集まるデータで、需要を予測し仕入れや価格を調整

Just Walk Outを活用した無人スーパーが増えれば増えるほど、Amazonに集まるビッグデータも増えていきます。

今後は、下記のようなデータがAmazonに集まり、Amazonは集めたデータを活用した新事業を展開していくことでしょう。

【Amazonに集まるデータ】

  • 地域ごとの商品価格の差
  • 地域ごとの売れ筋商品
  • 天候や地域性と売れ行きの相関性

通販と異なり、実店舗での買い物には、地域性や天候などの影響があります。地域によって売れる商品も異なれば、適正価格も異なるのです。

Just Walk Outから集まるデータによって、Amazonは地域ごとの商品の売れ行きを細かく分析できるようになります。

今後のAmazonは、実店舗のビッグデータを活用して需要を予測し、小売店向けに商品の仕入れや価格設定に関するコンサルティング業を展開する可能性が高いでしょう。

無人スーパーによる、人手不足解消への期待

無人スーパーによる、人手不足解消にも期待が集まっています。

無人スーパーとはいえ、人手が完全に要らなくなるわけではありません。商品の補充や店内の見回りスタッフ、販売データをチェックして仕入れを調節するような仕事は、今後もしばらく人の仕事として残るでしょう。

しかし、無人レジによる自動会計による人手不足解消と、会計の効率化には目をみはるものがあります。

Just Walk Outを活用した無人スーパーでは、欲しい商品を鞄に入れて店を出て行くだけで自動会計ができるので、非常に効率的です。レジ前に買い物客が並ぶ景色は、どんどん減っていくでしょう。

無人スーパー・Amazon goにより、Walmartとの競争が激化

Just Walk Outの外販により、EC最大手のAmazonと、小売業最大手のWalmartの競争激化が予想されます。

Walmartは、アメリカに本社を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンです。AmazonがAmazon goを展開し、実店舗に参入したように、WalmartもECへの参入を進めていました。

店舗を持たず、在庫を抱えるリスクも少ないECへの参入は、実店舗への参入と比べると低リスクです。しかし、Just Walk Outを外販することで、Amazonは自社で店舗を持つことなく、アウトソースという形態で実店舗に参入できるようになります。

従来は、既に実店舗で成功しているWalmartが優勢という見方が主流でしたが、Amazonの実店舗への参入ハードルが低くなったことにより、両社の競争は激化していくと予測されます。

無人スーパーに参入したアリババグループとは?

アリババグループは、中国にさまざまな商品の販売・マーケティングを行う企業です。

自社でショッピングセンターを運営するだけでなく、テクノロジーを活用し、マーケティングのためのインフラを整えるのも、アリババグループの事業のひとつです。

アリババグループのミッションは「どこでも簡単にビジネスを行う」こと。無人レジによる手軽な会計が可能な無人スーパーへの参入は、まさにアリババグループがミッションを実現するために、避けて通れないものだと言えます。

アリババグループの詳細情報

【無人スーパー対決】アリババはAmazonのライバルとなるか?

アリババグループの無人スーパー・フーマー鮮生には、無人スーパー用アプリで購入した食材を、買い物をしている間に店内のレストランで調理してもらえるというサービスがあります。

また、フーマー鮮生の店内には雑貨販売店なども並んでおり、スーパーというよりは、日本の大型ショッピングセンターに近い印象です。

一方、Amazon goはサンドイッチやランチボックスといった、購入後すぐに食べられる食品が主な商品です。

同じ無人スーパーでも、アリババグループはショッピングセンターのようにエンターテイメント性が高い店舗を、Amazonはコンビニエンスストアのような利便性を追求した店舗を、それぞれ展開しています。

両社はライバルというよりも、異なるニーズを狙い、互いに住み分けをしながら事業展開していくでしょう。

無人スーパー・Amazon goの外販で、日本はどう変わる?

無人スーパー・Amazon goで活用されているテクノロジー、「Just Walk Out」の外販は、日本の小売業界にも大きな影響を及ぼすでしょう。

無人スーパーには、人手不足の解消や、万引きの防止など、さまざまな効果が期待されています。

Amazonには、Just Walk Outを導入した無人スーパーから実店舗の商品購買データが集まるでしょう。Amazonが、商品の需要予測に基づく、価格設定や仕入れ量のコンサルティング事業を展開する可能性もあります。

AIや画像認識技術の発展により、今後も無人スーパーは増え続け、私たちの日常へと浸透していくでしょう。