ニュース&コラム | 2020-02-10

ナレッジシェアリング業界のパラドックス:「楽しみながら死んでいく」戦略の行き先(前半)

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2020-01-21 0創事記 微博 作者: Alter

探究心という本能に駆られ、多くの人は「知識不足に関する焦りを感じている状況」に陥っており、外部情報が溢れる中で、まるで暗闇を怖がる子供のようだ。しかし、究極的な答えは本来より、一般労働者とエリート層の間の「知識の十分に消化されないという状態」を生み出すということではなく、秩序を根底から変革するインフラを作り上げることである。

ウイチャット(WeChat)(作者注:中国最大のソーシャルネットワークサービス(SNS))もいよいよ「有料」になる。
1月15日、ウイチャット(WeChat)がパブリックアカウントの「有料購読」機能のテストを開始したと発表。条件を満たすアカウントオーナーは自社記事の一部あるいは全部を有料購読に設定できる。これで、「ナレッジ購入」が再びナレッジシェアリング業界のホットキーワードとなった。
しかし、ウイチャット(WeChat)は最初に「ナレッジ購入」を提唱した企業ではなく、2020年の年越し番組で、羅振宇、呉暁波などの知識人による「年越し講演」などでの有料コンテンツが既に存在していた。

背景として、情報のビッグバンと言われている現代社会において、新しい知識を「エレベーターモード」、つまりインターネットに接続さえすれば続々と手に入ると思いがちだが、「情報量の海」から、価値のある知識や情報を見つけ出すことが、まさに「ロッククライミング」のように難しい。
同時に、情報の急速な拡大や、迅速な伝達により、「知識は力なり」という古い秩序がまさに破られようとしている。探究心という本能に駆られ、多くの人は「知識不足に関する焦りを感じている状況」に陥っており、外部情報が溢れる中で、まるで暗闇を怖がる子供のようだ。

01 ボトルネックはどこにあるのだろうか?

インターネットが人と情報を繋ぐメインチャネルになったと同時に、ビジネスの修羅場にもなったのだ。
過去の20年を振り返り、インターネットにおいて印象深かったのは大手企業の台頭と衰退により、「ニューリッチ」の神話を多く生み出したことで、トラフィックが勝敗を分ける鍵となった。

しかし、2016年から、インターネットのユーザー数が伸び悩み、「トラフィック=ユーザー数✕閲覧時間」の法則において、なるべく閲覧時間を長くすることが常識となった。如何に「時間(Time)を消費させるか(Kill)」という課題がインターネット企業の大きな論点となり、コンテンツのエンタテインメント性を重要視する流れとなった。
2015年、[GIF快手]という名前のアプリがスマートフォンの普及や、通信トラフィックのコストダウンの波にうまく乗った。2016年、ネット芸能人の「“Papi”ちゃん」は3分のショートビデオで、1200万人民元の投資を受けた。

それに伴い、Baiduは好看[Haokan]や全民[Quanmin]などのショートビデオサービスを開始し、テンセントもウイチャット(WeChat)ビデオの提供を開始した。
ショートビデオの台頭は、アルゴリズムに基づく「時間(Time)を消費させる(Kill)」戦略の成功を象徴している。この方法論はインターネットのインフラがビデオ通信をもサポートできた際に、かなり通用した。億を超えるインターネットユーザーが「ショートビデオ」の生産者となり、「奇抜」な作品であればあるほど、プラットフォームのアルゴリズムによっては一気に大ヒットし、普通のサラリーマンが足元にも及ばないほどの大金を手に入れることができたのだった

このような強いインセンティブがある中で、全国のインターネットユーザーが夢見る「一攫千金ドリーム」が流行した。その結果として、ショートビデオアプリを開けば、自ら探す必要もなく、セクシーで、ダイナミックで、面白おかしいビデオが目の前に出され、脳にドーパミンの分泌を促され、快楽に浸ることができたのだ。これはまさしく「竜宮城」のリアルバージョン:ビデオを5分見ていたと思ったら、あっと言う間に、2時間が経過していたりしている。

一部の人はエンタテインメントの「罠」にかかり、快楽を得る閾値がどんどん高まっていき、「刺激」を求めて、精巧に編み出された「情報の殻」に閉じこもっている。また一部の人は既存のルールを打ち破り、無駄な情報を排除すべく、オーバーロードとなった情報から知識を見つけ出そうともがき続けている。

ブレジンスキーの「おしゃぶり理論」にも書いてあった:
生産性の向上により、世界中の人口の大半が商品やサービスの提供に加わることがなくなる。そういう「要らなくなった」人々を慰めるために、彼らの生活をエンタテインメントや娯楽で満たし、彼らの注意力や不満を反らすべきで、それによってエリート層と底辺層の衝突から免れられると言う。
オルダス・ハクスリーが著書の「すばらしい新世界」において、このようにも述べた「人々は工業技術によってもたらされた娯楽や文化に浸り、思考を止める」
トラフィックの争奪戦時代、ビジネスの利益に踊らされ、「時間(Time)を消費させる(Kill)」というインターネット法則が流行り、「愉しみながら死んでいく」戦略が盛んに取られるようになった。しかし、オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」が未だに来ず、全国民の「知識不足に関する焦りを感じている状況」が蔓延したのだ。

02 知識のカプセルは単なる前菜で、羅振宇が1人で頑張っても不十分

ショートビデオが流行りだした2015年の冬に、羅振宇が重要な講演のリハーサルに没頭中だった。12月31日の夜に、彼が「時間の友達」というテーマで、最初の年越し講演を行った。それは、「ナレッジ年越し」の発端にもなった。
「羅振宇」が「ナレッジ購入」の代名詞になったと言えなくもないが、彼と似たような取り組みをした呉暁波、梵登、李善友などもいた。彼らは口を揃えて「知識をみんなの力にする」と言い、高い頻度に発表されるビデオ・音声製品と巡回講演で、民衆の「知識不足に関する焦りを感じている状況」を緩和してきた。
一部のメディアは2020年のナレッジ年越しを「クールダウン」と表現しているが、Baidu検索指数は以下の事実を提示している:呉暁波の指数は152%増加し、羅振宇の指数はなんと477%の増加となったのだ。どれも去年の年越し講演よりも大幅に増加。ということは、「年越し講演」は一部のメディアが言う「クールダウン」ではなく、去年の
影響力よりも増しているのが実態だと言える。

また、チケット販売からも同じトレンドが見られる。呉暁波の講演チケットは1980から12800人民元の4つのクラスに分かれており、独占的スポンサーもいたから、収入は2000万人民元以上に達する計算で、人気のトップスターと互角人気ぶりだった。テレビ生中継がある「時間の友達」は、なんとインナー席が4580人民元の価格で、デッキ席も880人民元に達し、8つのスポンサーを入れると、その収入はトップスター集う年越しライブにも比肩するほどだった。
お金で知識の価値を測れないというが、「知識不足に関する焦りを感じている状況」を象徴していると言える。情報オーバーロード時代において、「ナレッジ購入」こそが、もがいている人たちへの救いの手なのかもしれない。

羅振宇たちが提示したのは情報氾濫の様相と、「愉しみながら死んでいく」戦略が呈する危機である。ただし、彼らが作り上げたのはまだ「空中の楼閣」に過ぎず、インフラとは言えない。このようなやり方は単なる対症治療法で、本質的ではない。
「知識カプセル」は知識の二次販売を意味し、知識そのものではない。これらは情報の破片エフェクトに起因しているが、情報破片エフェクトの問題解決にはなっていない – 彼らの音声レッスンは本来情報破片エフェクトの産物であり、ソリューションではないからだ。であるがゆえに、知識の完全なる姿では決してなく、本来の姿ですらない。

また、「知識カプセル」は民衆とエリート層の間の「知識の十分に消化されないという状態」を生み出し、深堀りしたい人にとっては営業が足りず、知識の普及としては、やや難解だからだ。
当然、「ナレッジ購入」のトレンドが全く役に立たないと言っているのではない。「知識不足に関する焦りを感じている状況」ないしは「焦りの販売」、あるいは「ナレッジ購入」は共謀であり、需要と供給の共通の認識なのである。個人の利己心が見え隠れするが、結果的には「愉しみながら死んでいく」戦略に対しての対抗手段になっている
残念ながら、これは「究極的な答え」では、まだない。

後半へ続く

文/Alter 作者/Alter
来源:Alter聊IT(ID:spnews)
ソース:spnews  微信也要“付费”了

出典:QMP news