ニュース&コラム | 2020-02-07

建設機械のコストダウンと効率化アップを目指して、「Builder [X]」(注)がショベルカーの自動運転ソリューションを開発

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Builder [X]が海外市場開拓を始めた。

注:「Builder [X]」中国名ブランド「拓疆者」会社名:北京拓疆者智能科技有限公司 2018年4月設立

自動運転は応用シーンが乏しく、利益を出せないなどで、投資家からの信用を失いつつあります。しかしながら、都市部から人が少ない鉱山に目を向けてみると、鉱山こそが自動運転が最も早く応用できるシーンであることに気づかされる。

36Krは最近、北京拓疆者智能科技有限公司(Builder [X])を取材しました。2018年設立のこの会社は、リース及び人員派遣アウトソーシングにより、鉱山・風力発電所、高速道路、商業施設などのシーンに向けたリモート・自動運転建設機械を提供し、クライアントが抱える安全・効率性・人件費コストなどの課題を解決している。
「騒音、振動、粉塵などの劣悪な環境且つ単調で危険が伴う作業環境が若者を山での採掘の仕事につくことから遠ざけ、代わりに、若者は都市部に行ってフードデリバリーの配達員になることを選ぶ。現在現役の運転手は40-50代がほとんどで、体力が衰えており、定年退職も間近だ。」Builder [X]の創業者兼CEOの隋少龍(スイシャオリュウ)は言う。「去年運転手の給料はおおよそ1万人民元(16万円)程度だが、今年は1.2万元-1.5万元に跳ね上がっている。トンネル工事のような塵肺病になる現場は、相場は2万元以上にもなる」

これらの課題に対処すべく、Builder [X]では既存のパワーショベルやローダーにアフターインストールで搭載可能な改造キットを開発。これらの現場向けに、免許を保有する運転手がリモートコントロールで操作可能な施工ソリューションを提供している。現場はマネジャーを1人配置し、無線安全ロックで機械の緊急停止を緊急時に行い、またショベルのメンテやガソリンの注入などを行えば済むことになる。

また、Builder [X]は既に北京市密雲首雲鉄鉱石加工場にて半年以上の安定作業を実現。リモートコントロールソリューションは運搬、山開き、道路整備、採掘をして積み込む作業などのタスクをこなし、現在までに合計作業量は30万立方メートルを超えた。また、この前はリモートコントロールの無人ショベルカーを活用し、海南島楽東県の10ヘクタール農園で発掘作業や溝掘りなどを実施した。北京鉄鉱石加工と海南島の農園は、どれもBuilder [X]の技術者が北京のオフィスでのリモートコントロールだった。

Builder [X]のCTO殷(イン)銘氏が言うには、リモートコントロールによって、Builder [X]はいち早く自動運転の応用ができているが、シンプルなリモートコントロールだけでは、ユーザーが満足するほど、十分な作業効率を実現できない。その理由は、ショベルカーにつけたカメラだけでは、人間ほど周りの環境認識が十分ではないことと、ネットワークや機械的部品による遅延も避けられないことがある。そのため、リモートコントロールでは地ならし、斜面づくり、装填などの繊細な作業には不向きである。

環境認識の課題については、Builder [X]が自社開発したコンピュータビジョンに基づく認識ソリューションがある。
「我々の機械は、とある工事で危うく崖から落ちるどころだったが、最初は運転手のミスだと思った。後から注意深く分析すると、現場の土と石ころなどはリモート画面での高度差を判別しづらい。それを受けて我々は深さを計算するアルゴリズムを付け加えて、ARによってUI画面に表示させている。また別のアクシデントで、建機後部の視野盲点にいた人間にぶつかりそうになって、解決策としては360度見渡すオーバービューカメラを追加した。ただしこれでは運転手が操作に集中しているときに多くのモニターを同時に見られないので、深層学習による歩行者認識アルゴリズムを追加し、建機後部に近づく歩行者を認識し、運転手にアラームを出すようにした」

ARモニターではリモートコントロールの運転手が目では認識しにくい高度差や歩行者を提示(写真はBuilder [x]の提供)
遅延に関しては、Builder [X]はロボットオートメーション技術を応用した。ショベルカーを1つのロボットアームに改造し、繊細な操作での自動運行を実現し、効率性と精度の向上に成功。CTOがさらに付け加えたのが、このステップでの課題が建機の油圧システムはセンサーとコントロール精度がモーター式ロボットアームと大きな差があり、マルチセンサー融合や、それに応じた認識アルゴリズム・コントロールアルゴリズムで補完する必要性がある。鉱石の装填作業では、自動照準により、人手5Gリモートコントロールの平均30秒から、20秒以内に効率性をアップさせた。さらなる技術改良で、最終的には人間の15秒よりも効率よくできると信じている。

コンピュータビジョンに基づいた掘削地点と荷降ろし地点の認識(写真はBuilder [x]の提供)

CTOは、最終的には完全無人の自動運転を目指していることを目標とした。鉱石装填の作業シーンでは、既に深層学習による発掘ポイント選びと荷降ろしポイント選びの自動化を試みている。また、経験豊富なベテラン運転手がリモートコントロールによって作業していること自体は、アルゴリズム改良のデータにもなるのだという。

現在、Builder [X]は海外マーケットにも目を向け始めた。CEOが言うには、香港、日本、オーストラリアなどのビジネスパートナーと話している。中国鉱山と同じように安全性の課題を抱えている以外に、先進国では人件費が建設費用の40%以上を占めていることも大きい。一例として、鉱山はオーストラリアの最重要産業で、一般的にはFIFO(Fly in Fly out、つまりプライベートジェットによって運転手を鉱山に運ぶ)で行っているので、ショベルカー運転手の年間給与が10万オーストラリアドルにも達する。鉱山での飲食・居住や保険などを足すと、人件費コストは25万オーストラリアドルになり、実にシリコンバレーのエンジニア並だ。

ただし、高い給料を出しても、15-24歳の若手が8%にも満たず、運転手の平均年齢が45歳である。若手不足は、過剰教育以外に、若い人は家族と離れて、単純作業を繰り返す鉱山労働に気が向かないことが主因で、多くの運転手はうつ病を患い、自殺する者も相次いだ。これもまた鉱山オーナーの悩みの種で、故に鉱山の無人化は経済性と社会貢献の両面から大きなメリットがあるといえる
Builder [X]の創業者兼CEOの隋少龍(スイシャオリュウ)はスタンフォード大学建設機械専門卒業で、テスラとアップルに働いた経験を持ち、その後複数のベンチャーを起こして、2017年のフォーブスアジア[30 under 30]にも選ばれた。CTO殷铭(インミン)は復旦大学コンピュータサイエンス学科を卒業後、シリコンバレーのグーグル本社に務め、帰国後はMomoのCTOをも務めた経験を持つ。

出典:QMP news